蔵本−八木酒造合名会社 麹−米麹・黄麹  原料−安納芋
購入価格−\3,150  購入年月 H19.4

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 「八千代伝」を代表銘柄とする八木酒造が平成18年4月に初めて世に送り出した新酒で、年に1度春だけの限定酒である。同じ蔵から、秋に限定で出される、「熟柿」がある。今回初蔵出しの「黄色い椿」は、黄麹仕立てである。八木酒造のホームページでは、『華やかでフルーティーな黄こうじの特徴と、甘さいっぱいの安納芋が絶妙にマッチした』と紹介している。安納芋を使った焼酎には、「相良兵六 安納芋」と「しま千両」がある。どちらも、やや果実に近い香りがしていたようだが果たして、味わいは、どんなものだろうか。
 平成20年の新春を迎えて開栓した。いつものようにロックで味わってみた。なんともすっきりとした清涼感のような印象を受ける。口の中でゆっくり含ませると、何となくマスカットような香りを思い浮かべる。蔵本は「甘さいっぱいの」と紹介しているが、さほど甘さは感じないが、辛口でもない。
 なんと言ってもこの「黄色い椿」の特徴は、軽やかな味わいとすっきりとした飲み口であろう。
 「熟柿」もフルーティーで濃厚であったが、「黄色い椿」はフルーティーだが、どちらかというと淡麗な感じである。

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蔵本−高良酒造 麹−米麹・白麹  原料−黄金千貫
購入価格−\1,800(720ml)  購入年月 H19.22

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 「田倉は「八幡」を代表銘柄とする「高良酒造」さんにこだわりの1本である。この田倉の入手にはずいぶんと苦労した。そのいきさつは「焼酎購入」の項の「田倉の購入」「とても幸運な1日」を参照してほしい。
 さて、ロックでいただいてみた。氷を入れたグラスに「田倉」を注ぎ、すぐに口に運んだが、全くアルコールの刺激感はなく、とてもやさしい口当たりである。
口の中で転がしてのどをとおすと、とても清らかですいすいと入っていく。芋の香りが立つわけでもなく、フルーティーという感じでもない。どことなく日本酒の香りを思い浮かべるのだが。こう感じるのは自分だけなのかと、ネットで様々サイトを検索していると同じように日本酒に似た感じという評価をしているサイトを見て、同じように感じている方がいるのだと少し安心した。
 この「田倉」の持ち味は、日本酒に近いような香りと清らかな飲み口であろう。
 今日は久々に、5対5に前割りしたものを芋じょかでぬる燗にしていただいた。ぬる燗だと芋の甘さが強調されてほっこりとした感じで、日本酒のような香りは感じなっかた。また、温めるとアルコール臭や刺激感がより増すが、この「田倉」はそのような感じはせず、やはりやさしい飲み口であった。
蔵本−尾込商店 麹−米麹・白麹  原料−黄金千貫
購入価格−\1,800  購入年月 H19.8

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 「尾込め商店」さんがつくるレギュラー焼酎「さつま寿」である。ここ福岡では、入手しづらい1本で、私が知りうる限り、1店舗のみ正規で購入できる。同じ蔵が造るこだわりの「池の鶴」はどこの酒屋さんでも購入できることはないが、特定の酒屋さんに行くといつも棚に並んでいて逆に入手がそう困難ではない。
 さて、この「さつま寿」いつものようにロックで味わった。開栓して瓶の口に鼻を近づけ香りをかいでみると、ぷんと芋の香りが入ってくる。においをあえて嗅がずとも自然に感じるくらい、香りが立っている。芋焼酎になじんでいない方には、この香りになじめないかも知れない。
 氷を満たしたグラスに注ぎ、口に運んでみた。決して、フルーティというものではなく全く向かうところが違う。口に含み舌の上で転がすと芋の香りとこくがが口いっぱいに広がる。白麹なので芳ばしさは感じない、しかし、白麹は華やかさやフルーティな味わいが多いが、この「さつま寿」は、「芋」まっしぐらという感じで、芋の存在感を主張し、重厚でインパクトある1本である。芋の香りを感じつつのどを通していくと、ほんのりと自然な芋の甘さを感じる。甘口でもなく辛口でもなく、中間ぐらいだろう。のどを流してもアルコールの刺激感も感じず、グラスを重ねてしまいレギュラー焼酎でこれだけの味わいを醸し出す、「尾込め商店」さんの質の高さを実感する。
 芋の焼酎のもつ、芋の香りやこく、存在感を楽しめ、重厚な味わいを好む方にすすめたい1本である。
 お湯割りの評価は、もう少し時間をかけ後日、紹介することにする。


蔵本−植園酒造場 麹−米麹・白麹  原料−黄金千貫
購入価格−\1,960  購入年月 H19.8

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 「園乃露」は「夢鏡」をつくる植園酒造さんがつくるレギュラー焼酎である。夢鏡は、花のような香りが立つ飲みやすい1本で、好みの1本であった。そんな植園酒造さんがつくるレギュラー焼酎はどのようなものだろうか。ネットでは、評判が高いが実際はどうなんだろうか、興味がわくところである。
 ロックで味わった。香りは芋本来の福与かな香りがたち、口に含みのどをとおしてみると、甘さをほんのりと感じ、甘口と辛口の中間に位置すると感じるが、この辺は個人差があるだろう。
芋のこくと香りを存分に楽しめる1本である。レギュラー焼酎にもかかわらず、アルコールの刺激感を感じることなくのどをとおっていく。多くのレギュラー焼酎は、アルコールの刺激感やすっとする感じを覚えるが、この「園乃露」はその感じがしない。値段を考えると、コストパフォーマンスに優れた1本だ。多くの酒屋さんの店頭に並んでいるようなことはないが、量販店でも取り扱いのある店もあり、入手もそう難しくはないようで、毎日、気軽に楽しむ1本として、芋のもつ香りとこくを楽しみたい方に勧めたい。
 ちなみに「園の露」のがひらがなの「の」で表記されているのは米焼酎の「園の露」で全くの別物である。
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蔵本−岩倉酒造 麹−米麹・白麹  原料−黄金千貫
購入価格−\2,310  購入年月 H19.4

 「やっと出会えた。」という感じである。ここ福岡ではプレミア付きで販売している酒屋さんでさえ見かけることがない。「月の中」を定価で購入できないとあきらめていた。やっと取り扱いのある酒屋さんをある町で見つけだし、苦労して購入できた。家に持ち帰り、ラベルをなでてみたくなるほど愛しく感じる。こんなことを口にしようものなら、妻から馬鹿にされそうである。
 この「月の中」を取り扱いしている酒屋さんが少ない上に、入荷量もわずかなので、店頭に並ぶことはない。
 今回、酒屋さんに入荷直後のためだったのだろう、すんなりと奥から出してくれた。これだから、「酒屋は直に自分の足で回らなきゃ」とあらためて思う。
 前置きが長くなったが「月の中」を造る岩倉酒造さんは宮崎県西都市大字下三財にある蔵で家族4人で営んでいる、とても小さな蔵である。近くには月中神社があり、「月の中」の名称はここから付けられたものだそうである。明治23年の創業なので、110年以上の歴史を持つ。年間生産石数は僅か200百石、1升ビンで二万本となる。1ヶ月に換算すると約1700本となる。これをさらに全国各地に発送するのであるから、入手が困難なのは当然である。いつ開栓できるのであろうか。
 写真の一升瓶ではなく、昨年の暮れにたまさか購入できた4合瓶を開栓して、ロックで味わった。グラスを傾け口に注ぐと、何ともまろやかで、アルコールの刺激を感じることがなく、すいすいと入ってしまう。角が取れ、芋の風味やこくがうまく調和をして、ほんわりとしたいもの甘みを感じる。甘さやこく、風味がバランス良く調和をしていて、磨きがかっかようだ。ロックでかなり旨い。またいっぱいと手が伸びてしまい、危険な1本だ。 もっと、入手が容易だったらと、残念でならない。
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蔵本−大和桜酒造 麹−米麹・白麹  原料−紅さつま
購入価格−\2,800  購入年月 H19.10

 「大和桜 紅芋」を造る「大和桜酒造」さんは、鹿児島県日置郡市来町にある。市来町の総面積は31.56平方キロメートルで、「七夕」代表銘柄とする田崎酒造さんや「黒天狗」や「花と蝶」を造る「白石酒造」さん、「伝」や「海童」の「濱田酒造」さん、「薩摩一」や「わか松」の若松酒造さんが蔵を構えている土地である。 その中でも、石蔵での麹造りや全甕仕込みにこだわり手作業で焼酎造りをしているのが「大和桜酒造」さんである。生産量は150石(約一升瓶1万5千本)から200石(約一升瓶2万本)程度で非常に小さな蔵である。
 この「大和桜 紅芋」は国産米を蒸して、石蔵の麹室の中で白麹菌の加えて麹米を造り、原料芋には甘味の強い鹿児島県指宿郡頴娃町産の「紅さつま」を使っている。一次仕込みのモロミも甕仕込み、2次の仕込みも甕仕込みである。そのような手間暇をかけた醸し出されたのが「大和桜 紅芋」である。
 さて、ロックで飲んでみた。口に含んですぐ、甘さを感じる。芋シュースと言ったらいいだろうか。のどを通していくと、なめらかでアルコールの刺激感など感じることなく,するすると通っていく。のどを通した後も、特有の甘く洋菓子のような香りが続き、余韻が残る。
 第1印象はとても甘く、少々自分にはくどいように感じたが、飲み深めていくうちに、まろやかさと甘さと香りが調和をしておいしくいただけた。 
蔵本−吉永酒造場 麹−米麹  原料−黄金千貫
購入価格−\2,880  購入年月 H20.1

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「甑州」(そしゅう)を造る吉永酒造場は鹿児島県の西に位置する甑島列島からなる下甑島(しもこしきじま)にある。地図で確認すると東シナ海のまっただ中にあり、ここも鹿児島県なのかと思うようなところである。創業は明治41年(1908)で100年の伝統をもつ蔵である。下甑島には全長2キロメートルもある白砂の手打海岸があり、この海岸に六月には海亀が産卵にくるそうである。同じ蔵が造る「亀五郎」の亀はここから付けられたものなのだろうか。
 裏ラベルには、「厳選された新鮮なさつまいもを原料にまた、新しい酵母を使用した昔乍らのかめ壷仕込みで醸し上げた本格焼酎です。また、旨みとなる香味成分の調和をよく保つために貯蔵熟成の段落で絹の袋で濾過いたしました。」とある。この「甑州」で特筆することは、仕込み水に海洋深層水を使用していること、KO-CR-37という新しい酵母を使っていることともう一つは絹の袋で濾過をしてることである。さて、どんな味わいなのだろうか。
ロックでいただいた。口にそっと流し込むと、芋の香りとフルーティーな香りが程よく調和した香りを覚える。フルーティな味わいの代表と賞される「魔王」には芋の香りは感じないが、この「甑州」には芋の香りを感じつつも、果実の香も想起する。なかなか飲みやすく、すいすいとのどをとおっていく。特有の香りは絹の袋での濾過の効果なのだろう。舌の上を転がした感じでは、「佐藤の黒」や「造り酒屋櫻井」などは、とろっとした印象であるが、「甑州」ではさらっとした感じである。ここらは、海洋深層水の影響なのだろうか。
 この「甑州」1度は、味わっていただきたい。しかし、きわめて、特定の酒屋さんにしか取り扱いがないのが残念である。それだけ、仕込みも少ないのであろう。

蔵本−株式会社宮田本店 麹−米麹・白麹  原料−黄金千貫
購入価格−\3,000  購入年月 H19.11

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 「銀の星」は「日南娘」を造る宮田本店さんによるものである。「日南娘」は桃のような香りを想起する1本で、お気に入りである。同じ蔵が造る「銀の星」は、どんなものだろうかと興味がわくところである。 
「銀の星」のラベルには、「堀りたての黄金千貫の皮をむいてカメ壷に仕込み、カメ壷で貯蔵熟成しました。すっきりとしたやわらかな芋の香りとくせのないまろゆかなうまみ。…」とある。
また、裏ラベルにはノーブレンド単年度生産原酒使用と印刷されており、手書きで2005年度産と記入してあった。
 いつものようにロックでいただく。グラスに「銀の星」を注いですぐに口に含んだ。ほとんどストレートに近いのだが、アルコールの刺激感やすーとする感じを覚えることがない。
ラベル記載されているようにやわらくほんのりと甘い芋の香りを楽しむことができる。芋の香りを感じる焼酎はたくさんあるのだが、その中でも「銀の星」は、ラベルに記載されてあるとおり、やさしくやわらかである。これ旨い。現在8本の焼酎を開栓しているが、その中でも自然と手が伸びてしまう1本である。上質でやさしく癒されるような味わいである。また1本、できることなら確保しておきたい。