「神川」のラベルは、何とも上品でいかにも旨そうに感じる。また、こげ茶色の瓶との相性も好印象である。そんな先入観は捨て去り、評価しなければ…。
 さて、神川酒蔵は昭和38年創業と新しい蔵である。その前進は小鹿酒造の研究部門が手造りにこだわり、神川酒造となったそうである。 神川酒造は、大隅地方の東南部にひっそりとかまえる小さな蔵で、温帯多雨の条件に恵まれた樫や椎、椿などが広がる照葉樹林の原生林があり、その樹林から浸みだしてくる湧水を使って仕込みがなされているそうである。
 ネットで調べ見ると1800mlが7,500円で売っていた。結構な値段である。もっとも、鹿児島県の酒屋さんが2軒、福岡では1軒のみの販売なので、手に入りづらい焼酎であろう。
 飲んでみた。樫樽で熟成しているので、樫の色と独特な香りがついている。ウイスキーと同じ香りである。熟成期間が長いせいか、アルコールのぴりぴりとする感じはなく飲みやすい。この香りは独特である。いつもの焼酎に飲み飽きて、ちょっと今宵は目先を変えて、樫樽の香りと優しいのどごしを楽しみたいというときにお勧めである。 
蔵本−国分酒造 麹−米麹・白麹  樫樽貯蔵
購入価格−\1,300円(720ml) 購入年月 H18.7

蔵本−鹿児島酒造 麹−米麹 原料−ベジータクイーン 
購入価格−\3,360円   購入年月 H18.7

蔵本−さつま無双 麹−米麹・白麹・常圧蒸留 原料−黄金千貫購入価格−\1.470(720ml) 購入年月 H18.7
蔵本−神川酒造  麹−米麹・白麹 
甕壺熟成  購入価格−\1,330円(720ml)購入年月 H19.7
「金峰櫻井」に「黒櫻井」そして、この「造り酒屋櫻井」、櫻井の焼酎がずいぶんとそろった。金峰櫻井がとても旨かったのでどれも期待が膨らんでしまう。さてこの「造り酒屋櫻井」は原料芋には黄金千貫、米麹に酒造好適米を使い、金峰町の地下水で仕込んである。濾過を弱くし、割り水には関平鉱泉水を使用しているそうだ。
蔵本−櫻井酒造 麹−米麹 黒麹原料−黄金千貫
購入価格−\2,415 購入年月 H18.8

 ある酒屋さんに「造り酒屋櫻井」を購入しに行ったが、在庫切れで代わりにこの「黒櫻井」を購入した。この「黒櫻井」は、「金峰櫻井」に20%程度ブレンドされている黒麹仕込の焼酎なんだそうである。蔵本が「金峰櫻井」の在庫薄に伴 い、苦渋の選択として限定で商品化されたものであるそうである。櫻井酒造の年間製造量が380石(1升瓶で38,000本)と非常に少ない生産量で、この黒櫻井はより希少である。 
蔵本−相良酒造合名会社 麹−米麹・白麹
原料−栗黄金  購入価格−\2,800 購入年月 H18.4

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蔵本−山元酒造 麹−米麹・黄麹  原料−黄金千貫
購入価格−\1,399  購入年月 H18.6

 この照葉樹林の役割、自然の持つ偉大さを改めて認識してもらうために取り組み、癒しの芋焼酎をめざしているのだそうだ。この蔵は、「照葉樹林」という銘柄の焼酎が主力で、どんなに照葉樹林による水を大切にして焼酎を造っているのかがうかがわれる。そんな信念をもった蔵が造った「別撰 神川」は、甕で仕込み、甕つぼで貯蔵しているそうである。そうすることで「なつくなる」と言って舌になじみやすく、アルコールのぴりぴり感がなくなるそうである。
 ネットでこの「別撰神川」についていろいろ調べていると、この蔵は、あの「森伊蔵」の親戚蔵でもあり、味も似ているということであるが、定かでない。自分自身、「森伊蔵」を飲んだこともないので、何とも言えない。 さて、本日初めて開栓した。とても口になじみ飲みやすい。やや甘口である。口に含むと独特の香りが広がるが、初めて感じる香りである。芋の福与かな香りでもなく、フルーティーでもない、上品な味わいと香りである。わかりやすく表現できない自分がもどかしい。ひりひりとするアルコール感は全くしない。丁寧な仕込みと熟成が生かされているとうかがわれる。これは、じっくりと味わい、評価しなければ。 これは、一升瓶で購入して、ゆったりと味わい再評価したい。
 「がらるっど」は、「国分酒造」が造る樫樽長期熟成焼酎である。霧島・高千穂峯山麓のこんこんと湧き出る名水を使っている。国分酒造の焼酎はいろいろな酒屋さんで見ることができるが、この「がらるっど」はどの酒屋さんでも見ることができない。調べてみると、日本全国で3軒しか取り扱いがない。その一軒が幸い福岡県にある。
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蔵本−櫻井酒造 麹−米麹・白麹8・黒麹2 原料−黄金千貫
購入価格−\2,415  購入年月 H18.5

蔵本−櫻井酒造 麹−米麹・白麹 原料−黄金千貫
購入価格−\3,000  購入年月 H18.8

蔵本−高崎酒造 麹−米麹・白麹・黒麹ブレンド
原料−安納芋   購入価格−\23,00 購入年月 H18.8

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蔵本−相良酒造合名会社 麹−米麹・白麹 
購入価格−\1,400(720ml) 購入年月 H18.8

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蔵本−宮田商店  麹−米麹・白麹  原料−黄金千貫
購入価格−\2,410  購入年月 H18.8

 この「蔵番長」は、日本侍士の会が企画したPBの焼酎である。 大隅町と末吉町産のベジータクイーンという芋(18d)と、麹米として財部町中谷地区産の「白玉」米(3d)とを原料に、阿久根市の鹿児島酒造の杜氏である黒瀬安光氏に仕込を依頼して造られた焼酎であるそうである。初年度の総生産数量は7730本で、2005年4月下旬から同会会員店の内の23店で販売しているそうである。
「蔵番長」の酒名は、黒瀬杜氏の焼酎造りに敬意を表し“蔵番の総長”から命名したものであるそうである。蔵の番長ではなく蔵番の長である。
 原料となる「ベジータクイーン」は、コガネセンガンの血を引くベニアズマの突然変異種として偶然発見されたもので、オレンジ色の果肉には旨みとなるベータカロティンが豊富に含まれている。また「白玉」米は酒造適性に優れていたものの 長らく栽培が途絶えていたのを「侍士の会」代表の前畑浩一氏が平成7年からの取り組みで復活させた米で、今では「侍士の門」の麹米として広く知られている。「侍士の門」も同じく「白玉」から造られている。果たしてどんな味わいであろうか、興味がわくところである。
 さて、前割りした「蔵番長」をいただいている。芋のほっこりたした甘みと香りを感じるが、決して甘口ではない。では辛口かというと辛口でもない。甘口と辛口の中間にある焼酎である。アルコールのぴりぴりした刺激を感じることが無く、芋のほっこりとした甘みと香りを感じる。なかなか、上質で優美な感じを受ける焼酎である。お勧めの1本である。
 この「竈」は酒職人ギルドの商品であり、特約店でしか売ってない。ちょくちょく行く酒屋さんに
時々入荷するのであろう。この職人ギルドの企画した焼酎は他に「もぐら」「楔」「あやかし福助」「さそり」などがある。これらのギルド商品は、特定の酒屋さんにしか入荷しない。この焼酎は3年貯蔵の芋焼酎で大変手間暇がかかっている。いも焼酎の材料として、最高とされる黄金千貫を使用。1000Lのかめつぼにて3年間貯蔵しているとのことである。3ヶ月に一度だけの出荷限定の焼酎であるとか。試飲が楽しみである。
 いつものようにロックで飲んでみた。口当たりがとても柔らかく、上質である。絹ごしの味わいとでもたとえてよいだろう。3年間の熟成の恩恵だろうか、アルコールの舌やのどにつく刺激感は全くしない。白麹仕立なので、すっきりして飲みやすい。ほくほくの芋の味わいでなくほんのりと芋の味わいを感じさせながら、知らず知らずに飲んでしまうような焼酎である。
 櫻井酒造の創業は1905年であるうそうである。かれこれ100年以上続く蔵である。造り酒屋では本当に小さな規模で、御夫婦二人を中心に焼酎造りを行っており生産石数も400石強と少量しか生産できない蔵である。しかし、原料から造りの工程まで全てにおいて目を行き届かせ、製造から瓶詰めラベル貼りまで全て手作業で行っているそうである。
 この「金峰櫻井」は、ネットで評判がよいので購入してみようと思った。調べると、プレミア焼酎である。手に入りにくいかと思っていたが、「櫻井」ののれんが自宅の近くの酒店に掲げてあるのを思い出し行ってみた。偶然に在庫があり、手に入れることができた。少々拍子抜けの感である。もっと入手に苦労するかと思ったが幸運であった。

 早速、飲んでみると、「薩摩茶屋」ににた香りと味わいである。これは、旨い。ほんのりと香ばしい香りとのどごしが優しく、杯がすすむ。評判だけのことはある焼酎であった。2本目をキープしよう。
 さて、この「金峰櫻井」旨いのでいろいろ調べてみた。この「金峰櫻井」は櫻井酒造の主力商品であって、白麹仕込み原酒と黒麹仕込み原酒の比率を8:2としてブレンドされた焼酎であるそうである。白麹仕込みは「さつま松の露」黒麹仕込みは「黒櫻井」、また比率を変えたものが「小さな蔵で」であるとのことであるが定かでない。いつか並べて、飲み比べてみたいものである。
 「黒櫻井」に関する所感は、別頁を参照していただきたい。さて、近頃、「黒櫻井」をロックで味わっていた。数日間、「黒櫻井」を楽しんだある日、久々に「金峰櫻井」を久々に口にした。口に含んですぐに、「黒櫻井」の黒麹独特の香り芳ばしさが思い浮かぶ。白麹のやしさと気品は、その後に感じる。「黒櫻井」のブレンドが薬味となっていることが良く分かる。「黒麹」20%の配合だが、予想以上に「黒櫻井」の味わいを感じる。なかなか、黒麹の香りは白麹よりかなり強いものと察することができる。絶妙のブレンドである。これ以上「黒櫻井」の比率を多くしたら、「黒櫻井」そのものと大差を感じないであろう。20%「黒櫻井」と80%「さつま松の露」は「黒櫻井」の香りとこくを感じつつ、「さつま松の露」のもつ優しさとななめらかさを調和しものが「金峰櫻井」なのであろう。
 この鉱泉は鹿児島県姶良郡牧園町高千穂で採取されるそうである。その名水で割水された「造り酒屋櫻井」はどんな味わいなのか楽しみである。
 これも、開栓が楽しみな1本となった。ところで、古酒櫻井が他の焼酎2本とのセットで7,000円である酒屋さんで売ってあった。買わないでいたが……。もったいないことをしたのかもとも思う。
 今日、平成19年1月16日初めて開栓した。と言うのは、二本目を購入することができたので安心してやっと封を切るのである。一升瓶の口に鼻をくっつけて、思いっきり鼻から息を吸い込んで香りをかいでみた。「あれっ」と思うほど、芋の薫りや芋焼酎の存在をあまり感じない。芋の薫りよりは、甘い密をもつ花を思い浮かべる香りである。はたして、その味わいは…と思いつつ氷で満たしたグラスに注いでみる。期待しつつ、グラスに口を付けてみた。「金峰櫻井」と同じで優しく、とろっとした感じで舌の上に転がってくる。旨い。とろっとまったりとした感触は特質ものである。ここらは関平鉱泉水の恩恵であろうか。氷が溶けないうちに口に含んでもアルコールのひりひりとする刺激を感じることが無い。口に優しい。熟成も充分である。久しく、「金峰櫻井」を口にしていないのでどう違うのか、言うことができない
 日を置いて、「金峰櫻井」を持ち出して飲み比べることにした。今日は共に生のまま、味わってみた。まずは、「金峰櫻井」から、ストレートなのでアルコールの刺激感を感じるが、一方、造り酒屋の方は、アルコールの刺激感を感じず、柔らかい。造り酒屋の方が格が一段上に感じる。「金峰櫻井」も旨いが「造り酒屋櫻井」は一層旨い。後は…思い浮かばない。情けない。
 次の日、情けなく終わるわけにはいかないと、再挑戦した。今日は、生でなくロックで飲み比べてみた。前割りした「金峰櫻井」をグラスに注ぎ、口に入れた。すぐ、アルコールのすうとする感じを覚え、そして香ばしい香りが広がってくる。やはり、旨い。一方、「造り酒屋」は、前割をせず、ロックで頂いた。しかし、アルコールの刺激感やすっとする感じはしない。しっかりと熟成していることが分かる。そして、やわらく、やさしい味わいである。これもまた、旨い。「金峰櫻井」で感じた香ばしさはしない。これは、「金峰櫻井」が黒麹仕込みの黒櫻井を20パーセントを混ぜていることからであろう。
 今回、飲み比べてみて、「金峰櫻井」も旨いが、より「造り酒屋櫻井」の方が自分の好みである。自分の中では厳選した中でも上位3位の中に入る3本でであろう。最もまだ、60銘柄ほどしか、味わったことがないのだが。それでは、「黒櫻井」はと…次の興味関心がわいてくるのである。 この結果は「黒櫻井」で記すことにしよう。
 ロックが好きなので、ロックで味わってみた。グラスに注いですぐに口に流し込んでも、アルコールの刺激感を覚えない。しっかりと熟成されている。口に入れるとすぐ、黒麹の香ばしさを感じて、すっと消えていく。キレがある。黒麹独特の香ばしいような香りである。ほとんどストレートに近いロックなので、香りはおさえられているがこくを感じる。黒サツマのように強烈な芳ばしさではなく、上質で優しくマイルドである。なるほど「金峰櫻井」に通じる芳ばしさである。次は前割りしたものをロックでためしてみよう。
 前割りしたものをロックで楽しんでも黒麹の持つ香りと芳ばしさは変わらない。前割りしているにもかかわらす、香りと芳ばしさを充分感じることができるのは、のびがよい。そして、ほんのりと甘く、とろっとして舌になじんでくる。とても、飲みやすい。強い衝撃や存在感は感じないが、黒麹のもつ特有の香ばしさと上質なこくを楽しみたい人にはお勧めの1本である。 
 高崎酒造は鹿児島県の種子島の西之表港のそばにある蔵である。明治25年に創業者である高崎貞吉が鹿児島市より種子島に移住し、明治36年 焼酎製造の免許を取得し、焼酎製造を開始したそうである。
 
 そんな安納芋を原料とした「しま千両」は秘蔵の甕壷貯蔵の古酒をブレンドならではのソフトな口当りと旨みは特別なものだそうだ。その味わいを崩さない為に出荷数は極僅かに限られており、高崎酒造のPB商品となっている。全国でも10店舗程度の酒屋でしか買えない稀少な芋焼酎であり、入手困難な芋焼酎となっている。幸い福岡にその1つの酒屋さんがあり、そこで購入することができた。
 さて、いつものように前割りしたものをロックでいただいた。優しい口当たりとほんのりとした甘みが口の中に広がってくる。つんとくるアルコールの味わいはなく、飲みやすい。口に広がるやさしい甘さは、独特のものである。これは古酒ブレンドからくるものであろうか。すっとくるきれはないがいつまでの口に含んでおきたいような気分にさせる1本である。 自分自身甘口が好みと言うこともあり、杯が進む。

 相良酒造は鹿児島市の中心部、鹿児島駅に程近い国道沿いにあるそうである。創業は西暦1730年享保15年である。270年にわたり芋焼酎を生産してきた歴史があり、今では鹿児島市内で焼酎を造り続けている唯一の蔵となる。薩摩半島の頴娃町産の良質な薩摩芋を使用し、水は名水百選の<下田七窪>天然湧水を使用しているとのこと。最近この蔵は、焼酎の質が向上し人気が出てきているとのことである。
 そんな相良兵六さんのこだわり焼酎して発売されているのが、白麹仕込みの醇良兵六である。いも焼酎としては初めて三段仕込みでつくられており、緻密で腰の強い味わいが特徴とのこと。また原料には、南薩地方でごく僅かに栽培されている「栗黄金」という希少な品種が使われている。「栗黄金芋」は生育が難しく、鹿児島でもあまり生産されていない珍しい芋であるそうだ。そこで、「栗黄金」を調べてみた。「栗黄金」は栽培が非常に難しく収穫も少ない為、一時は途絶えてしまった品種である。うまい焼酎造りの為に復活させたもので、吹上焼酎は“7軒の契約栽培農家” に限って栽培しているとのことである。「栗黄金芋」は一般的な焼酎の原料である「黄金千貫」などの品種とは違い、澱粉質が上質で香りもよく甘味があって、外見は「黄金千貫」とさほど変わらず、輪切りにすると黄色っぽい、夕焼け空のようなほんのりと赤身を帯びた色をしている。畑で生育時、芋の葉の先がエンジ色をしている点も、普通の芋とは違う点であるそうだ。栽培が困難な「栗黄金」の生産性は、「黄金千貫」の6割程度であるとか。苗を植えても3割程度が枯死してしまう非常にデリケートな性質で、うまく成長できたとしても、芋が小ぶりで収穫量も限られているそうである。それでも「栗黄金」にこだわるのは、他の芋では真似できない、その絶品の味わいを焼酎造りに活かし、最高の焼酎を造りたい蔵の意向を感じとることができる。
 そんな「醇良相良兵六 栗黄金」は、今まで飲んだ芋焼酎とは明らかに違う、琥珀色をしたアッサムティーのような爽やかな香味と心地よいキレ味を感じるとることができるそうである。またまた、開栓が楽しみな1本である。この、栗黄金はいつも行くレギュラーの「相良兵六」を扱う酒屋さんに並んでいるのは見かけることがない。栗黄金自体が生産性が悪いのなら、それを使った焼酎も稀少になるのは当然であろう。「醇良兵六 紅薩摩」もあるが、手に入れ比較してみたい。
 このところ、前割りした「醇良相良兵六 栗黄金」をロックで楽しんでいる。この焼酎の特色はなんと言っても口に含みのどを通したときの特有な香りにある。「私領五番隊」や「津貫屋」に似た香りをおぼえるは、自分だけなのだろうか。この特有の香りが好みの分かれ目となろう。いもいもした香りでなく、薬草やハープを連想する香りである。この香りがすっと広がり消えていく。アルコールの刺激感がないので、すいすいと飲むことができる。「醇良兵六 紅薩摩」と比べるとこの「栗黄金」のほうが特有の香りが立ち個性的である。
 山元酒造と言えば「さつま五代」で名が通っているが、この「山元」は蔵の名を付けているように、蔵の威信と自信を伺えるこだわりの焼酎である。一般の酒店では取り扱われず、限られてた特約店にしか出荷されていない。ちょっと酒屋さんをのぞくつもりが、帰りにはこの「山元」を手にとっていた。
 この「山元」なかなか他の酒屋で見かける事がなく、入手しにくいものと思われる。たまたま近所の酒屋さんにはいつも店に並べてあるので、そう人気があるのではないのであろう。黄麹を使っているので、香りが立って飲みやすいとのこと。同じ、黄麹の「甕御前」「富の宝山」と飲み比べるもの楽しみである。
 この醇良相良兵六「紅薩摩」は、醇良相良兵六「栗黄金」と同じ相良酒造のこだわり一品である。醇良相良兵六 定番酒の「さつま兵六」は黒麹仕込みでボディーのあるタイプであるが、この醇良兵六は白麹で仕込まれていて、やんわりとスムーズな味わいであるとか。クリアーで透明感のあるタッチと上品な甘味は、まるで洗練された吟醸酒を連想させてくれるそうである。
 この「紅薩摩」はよく行く酒屋さんでは、いつも店頭にあり、入荷数が多いようである。一方、「栗黄金」はほとんど見かけることがない。この「紅薩摩」に使われている原料は、その名のとおりベニサツマでである。ベニサツマは比較的新しい品種で平成になって栽培され始めた品種で、皮の色が紅色をしているのでここから付けられてた商標であろう。
 さて、いつものようにロックで飲んでみる。なるほどすっきりと透明感のある味わいである。アルコールのぴりぴりした感じもない。のどごしもさわやかで心地よい。この味わいはしっかりと熟成されているものと思われる。やや、辛口で飲み飽きない味わいである。
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 田崎酒造は鹿児島県日置郡市来町に蔵を構えている。酒の命とも言える水を求め初代当主がこの地に蔵を構えたそうである。創業当時と変わらぬ良質で豊富な水に恵まれ、酒造りを続けている。漢字で表記される「七夕」がこの田崎酒造の主力商品であり、コンビニ等で見かける。しかし、このひらがなの「たなばた」は特約店でしか販売していない。 
 「古酒」と明確に表示してあるが、「古酒」と表示する場合には、しっかりとした定義がある。「単式蒸留しょうちゅうの表示に関する公正規約及び同施行規則」がよりどころとなっているようである。この規約によると「古酒」とは、『全量を3年以上貯蔵したものが、ブレンド後の総量の50パーセントを超えるものでなければ、長期貯蔵又は、これに準ずる趣旨の表示をしてはならない。』 私が手にした「たなばた」のラベルには、製造平成13年とある。4年か5年熟成させたものであろう。また、全量古酒なのかブレンドされているのか興味がわくところであるが、わからない。 
 いつものようにロックでいただいてみた。なるほど古酒とあって、やさしい口当たりで、アルコールのぴりっとする感じはない。甘口でとろっとしてふあっとする感じがする。きりっと、すっぱとする味わいは無いが、優しさに包まれ癒されたいときには、お勧めの1本である。このような古酒がいつまでもこのような値段で提供されることを願うと共に蔵本の努力に敬服する。
蔵本−田崎酒造 製造平成13年・貯蔵タンク215
購入価格−\1,315(720ml) 購入年月 H18.8

 「日南娘」を造る宮田商店の創業は文化元年、西暦1804年というから、100年以上続く老舗である。蔵は宮崎県の日南海岸に面した港町にあり、大堂津の細田川沿いに位置する。年間生産量は100石の家族経営の小さな蔵である。宮田商店は焼酎の他に醤油や味噌も製造しているそうで、おそらく地元の方が醤油や焼酎を買いに来る地域に根付いた蔵なのであろう。年間生産用が100石なので、この「日南娘」が一般酒屋さんに出回ることはない.。.特定の酒屋さんにしか出荷されていないのであろう。
 今回購入した「日南娘」2本は、それぞれ別の酒屋さんで購入したものである。どちらの酒屋さんも県下屈指の酒屋さんで宮田商店とのつながりがあるので入荷しているのであろう。
 「日南娘」は、志布産黄金千貫を丁寧に処理し、独自の圧力釜で蒸し、河内白麹で仕込んで一次、二次ともに甕仕込み,、そして、1年熟成して出荷されているそうである。 そうやって醸し出された「日南娘」は、ピーチリキュールの様な静かで可愛い上質な甘味が口の中に広がり、香ばしい苦味と共に多要素で密度の濃いバランスの整ったものになっているそうである。
 まずは、生のままで味わってみた。ストレートなので若干アルコールの刺激を感じるものの、口に含んだとき、なるほど桃を思い浮かべるような香りと優しく優美な甘さが口いっぱいに広がる。とても優雅な気分にさせてくれる。この香りと味わいは特筆ものである。ストレートにもかかわらず、飲みやすくのどをすうっと通っていいく。これは思わず、一升瓶を持ち、再度ラベルをのぞき見て感じ入ってしまった。
 次にロックで味わった。氷で薄まってきても、上質な香りと味わいはしっかりと感じることができ、のびがいい。氷でうすまった分、アルコールの刺激感がなくなり、一層飲みやすくなる。これは旨い。芋の芋らしい味わいではないが、果実を連想させるの品のいい、香りと甘さの虜となりそうである。
 「六代目百合」のように力強くパンチがあり、芋のぷうんとした香りが好みの人には勧めないが、優しく癒されフルーティーな味わいを楽しみたい人には是非勧めたい。次に、見かけたら、迷うことなく購入しよう。
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蔵本−佐藤酒造  麹−米麹・黒麹  原料−栗黄金
購入価格−\1,265(720ml)  購入年月 H18.9

 佐藤酒造のレギュラー焼酎の「黒さつま」である。「佐藤の黒」「佐藤の白」は特約店にしか出荷されていないが、この「黒さつま」と白麹仕立ての「さつま」は一般の酒屋さんで販売されている。しかし、なかなかどの酒屋さんでも見かけることができない。今回、偶然にも手に入れることができた。佐藤のホームページでは、「黒さつま」を『黒麹仕込みの本格派です。温めてやさしく、冷たくしてキリッと飲める焼酎です。
 黒麹仕込独特のインパクトのある甘さと香ばしい香りを持つ焼酎です。』と紹介している。「佐藤の黒」は有名で、飲み屋さんでも飲んだことがある。興味がわくところである。 
 実際にロックで頂いた。なるほど、蔵本がロックでキリッと飲めると紹介しているように、辛口である。甘みは感じない。黒麹仕立てからくるやや焦げ臭いような香ばしいような香りがたち、すっと切れる。この香ばしいというべきか焦げ臭いとも言うべきであろうか、この香りはかなり強い。辛口できれのよい焼酎を好む人に勧めたい。
蔵本−佐藤酒造  麹−米麹・白麹  原料−栗黄金
購入価格−\1,250(720ml)  購入年月 H18.9

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 佐藤のレギュラー焼酎の「さつま」である。この「さつま」は 佐藤のホームページでは『当社の代表銘柄として作られてきた白麹仕込のさつま。地元の方々に昔から愛され、支えられてきた銘柄です。白麹独特の広がりのあるやさしい味わいの焼酎です。』とある。佐藤といえば「佐藤の黒」「佐藤の白」が有名であるが、蔵本はこの「さつま」を代表銘柄としている。
 この「さつま」は佐藤の特約店ではない一般の酒屋さんでも販売しているが、見かけることがない。
 いつものようにロックでいただいた。氷が溶けないうちに口に含むとアルコールのつんとくる感じを受ける。しかし、優しい甘さが広がり飲みやすい。甘口である。氷が溶けて薄まると、アルコールの刺激感がなくなり、一層飲みやすくなる。蔵本が代表銘柄としているだけに、多くの人になじまれる1本であろう。

関平鉱泉とは、今から170年以上も昔の天保3年に、田舎武士原田丑太郎が神のお告げによって、九州は鹿児島の霧島南麓の渓谷(日本で初めて認定された国立公園)で発見したと言われる名泉(名水)で、ミネラルを多く含んだ鉱泉であるそうである。
 この「しま千両」は種子島に古くから伝わる安納芋を原料としている。この芋は原種に近い品種ではないかと言われているそうである。この芋は、1698年に種子島に伝来、その七年後に九州大隅半島に伝わったとされているそうである。この芋の特徴は、カロテンによるオレンジ色の発色が美しく、食物繊維、ビタミンCやE、カリウム、ヤラピンなど紫芋に負けない要素を保持している。甘さは紫芋を上回り、大変に甘くネットリした焼き芋や蒸かし芋向けの芋であるとのことである。
「たなばた古酒」と濾過を施していない「たなばた無濾過」は全国でも限られた酒販店にしか流通していない希少な銘柄だそうである。あの「世界最優秀ソムリエコンクール」で、日本で始めて優勝した田崎真也さんのお勧めの焼酎として、「日経流通新聞」にて紹介されていたそうである。
 開栓すると、芋の優しい甘い香りを感じることができる。いつものようにロックで飲んでみる。これは甘口の焼酎かと思いながら、口に含むとそう甘さを感じることが無い、甘口と辛口の中間に位置するのであろう。氷が溶けず薄すまらないうちは、ややアルコールの刺激感がするが氷が薄まってくると芋の甘みと独特な香りが広がり、奥深いこくを感じることができる。けっこう味わい深く芋のうまみと香りを楽しむことができる1本であると思う。独特なというのは黄麹に起因するものであろう。同じ黄麹仕立ての富の宝山のようにフルーティーではない。むしろ、芋の自然な香りとほのかな甘さを堪能できる1本であろう。数ある焼酎の中でも、こくと芋の優しい甘みを味わうことができる1本であり、1度は飲んでいただきたい1本である。